知っておきたい!家庭の感染と予防

腸管出血性大腸菌O157

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腸管出血性大腸菌O157とは?

腸管出血性大腸菌O157とは、毒力の強いベロ毒素を産生する大腸菌の一種。抵抗力の弱い乳幼児や小児、高齢者が感染すると、腎機能や神経学的障害などの後遺症を残す可能性のある溶血性尿毒症症候群(HUS)を併発するなど重症となる場合もあります。
食中毒が多発する初夏から初秋にかけて特に注意が必要ですが、気温の低い時期でも発生が見られることから、夏以外の季節も注意が必要です。動物の腸内に生息しており、汚染された食肉やその加工品・飲料水を飲食することで感染します。ご家庭では感染者の便で汚染された手指で取り扱う食品などを介して、二次感染を起こすこともあります。しかしながら、衛生的な食材の取り扱いと十分な加熱調理、手洗い・消毒を徹底することで感染を予防できます。

腸管出血性大腸菌O157の特徴

  • 初夏から初秋にかけて特に注意が必要。
  • 乳幼児や小児、高齢者などは重症化しやすい。
  • 家庭内では二次感染に要注意。
  • 食中毒対策を徹底することで予防可能。

原因となる食品

腸管出血性大腸菌O157の感染事例の原因食品等と特定あるいは推定されたものは、牛レバー刺し、ハンバーグ、牛タタキ、ローストビーフ、サラダなどで、様々な食品や食材から見つかっています。

どんな症状?

頻回の水様便で発病し、その後、激しい腹痛と水溶性の下痢、血便がみられます。発熱はあっても多くは一過性です。潜伏期間は3~8日。抵抗力が弱い感染者の場合、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの重症合併症を発症することもあります。
一方で、全く症状がないものから軽い腹痛や下痢のみで終わる場合もあります。

  • 潜伏期間は3~8日
  • 激しい腹痛と水溶性の下痢、血便の症状

かかってしまった時の対処法

腸管出血性大腸菌O157による感染症が疑われるときは、必ず医師の診察を受けましょう。また、下痢止め薬や痛み止め薬の中には、毒素が体外に排出されにくくするものもあるため、薬は自分の判断で服用しないようにしましょう。
一般的には下痢の治療として、安静、水分補給、消化しやすい食事の摂取などです。抗菌剤を使って治療することも有効ですが、医師とよく相談して対応を決めましょう。

ヒトーヒト感染に要注意!

腸管出血性大腸菌O157の感染は"食品"からだけではありません。感染者の便に含まれる大腸菌が直接または間接的に口から入ることによって感染します。ヒトからヒトへの感染を予防する基本は手洗いです。家庭内に感染者がいる場合の主な注意点は以下の通りです。

  • 水洗トイレの取っ手やドアのノブなど、菌で汚染されやすい場所を消毒用アルコールなどで消毒する。
  • 感染者および家族は食事前など十分に手を洗い、アルコール消毒を行う。
  • 感染者の便を処理する場合(おむつ交換など)には使い捨ての手袋を用いる。また、おむつ交換は決められた場所で行う。
  • 感染者の便で汚れた衣類は、他の人と別に洗濯する。
  • 乳幼児は感染者の後に入浴しないようにする。また、バスタオルはひとりで1枚を使用し、共用しない。

食中毒の3原則を把握しよう

「つけない!」ことが、もっとも重要!菌がゼロであれば増殖しないので、つけなければ食中毒は起きません。

つけない!

手の洗浄・消毒の徹底

手にはさまざまな菌やウイルスが付着しています。食中毒の原因菌やウイルスを家庭では食べものにつけないように、次のような時は必ず手を洗いましょう。

  • 調理を始める前
  • 生の肉や魚、卵を取り扱う前後
  • 食卓につく前
  • 残った食品を扱う前

増やさない!

迅速な調理・提供と低温保存

細菌の多くは高温多湿な環境で増殖が活発になりますが、10℃以下では増殖がゆっくりとなり、マイナス15℃以下では増殖が停止します。
食べものについた菌を増やさないためには低温で保存することが重要。肉や魚などの生鮮食品などは購入後できるだけ早く冷蔵庫に入れ、迅速な調理と提供を心がけましょう。
※冷蔵庫に入れても菌はゆっくりと増殖するので、早めに食べましょう。

やっつける!

加熱処理

ほとんどの細菌やウイルスは、加熱によって死滅します。肉や魚はもちろん、野菜なども加熱して食べれば安心。
特に肉料理は中心までよく加熱することが大事です。
※中心部を75℃で1分以上加熱することが目安です。

野菜の除菌には、湯がき(100℃の湯で5秒程度)が有効であるとされています。