更年期になると口臭が気になりやすいって本当?理由や対策、ケア方法
更年期とは、閉経の前後5年の計10年間をいいます。日本人の平均閉経年齢は50歳ですが、個人差が大きく早い人では40代前半、遅い人では50代後半に閉経を迎えるため、おおよそ40~60歳が更年期世代といえるでしょう。
更年期は卵巣から分泌される女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が低下し、それに伴うホルモンバランスの大きな変化が更年期症状と呼ばれるさまざまな現象を引き起こします。
更年期女性の約50~80%がなんらかの更年期症状を訴えているというデータがあるほど、多くの女性を悩ます現象です。
更年期症状は、交感神経と副交感神経のバランスの乱れが大きな要因とされます。のぼせやほてり、発汗などの症状が有名ですが、めまい、動悸、頭痛、倦怠感、肩こり、冷え症、気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、便秘、胃腸の不快感、ドライアイなど、全身にわたる多様な不調が出現します。
症状や重さも人それぞれで、日常生活に支障を来すほど症状が重い場合は更年期障害とされ、治療が必要なケースもあります。
更年期とその症状についての一般的な説明はこの通りですが、実は更年期には口の中にも大きな変化が起きるのをご存じでしょうか。更年期は口臭が発生しやすい時期でもあるのです。
更年期と口臭の関係を詳しく解説していきます。
更年期の口臭は女性ホルモンの減少が原因?

更年期世代によく見られる口腔のトラブルに、口腔乾燥(ドライマウス)、味覚障害、舌痛症、歯周病などがあります。
このうち口腔乾燥(ドライマウス)は、唾液分泌量が減り、口の乾きやねばつきの症状が現れます。更年期におけるエストロゲンの減少や閉経に伴うストレスが大きく関与していると考えられ、更年期女性の口臭の原因の一つとなっています。
口臭は口腔疾患や糖尿病などの内臓疾患が原因の「病的口臭」と、それ以外の「生理的口臭」に分けられますが、口腔乾燥による口臭は後者です。
生理的口臭の多くは、口の中に残った食べ物のかす(食物残渣)や死んだ細胞などのタンパク質を口の中の細菌(口腔内細菌)が分解する際に発生する臭気物質(ガス)によって起こります。
唾液には口腔内細菌やその栄養源になる食べ物のかすなどを洗い流す自浄作用、口腔内細菌の増殖を抑える抗菌作用があるため、口の中が乾燥すると口腔内細菌が増え、口臭のもとになる臭気ガスが発生しやすくなるというわけです。
なお、口腔乾燥(ドライマウス)は、シェーグレン症候群などの病気のサインである可能性もあり、口が渇いて辛い場合は耳鼻科や歯科医院を受診したほうがよいでしょう。
更年期の口臭予防におすすめの対策

前段では、唾液分泌量の低下による口腔乾燥が口臭の要因であると解説しました。
では、唾液の分泌を促し、口腔乾燥を防ぐにはどうすればよいのでしょうか。おすすめの対策を紹介します。
よく噛んで食べる
唾液は噛むことで分泌が促されます。噛む回数を増やせばそれだけ唾液の分泌量が増えるため、食事は急がず、ゆっくりとよく噛みながら楽しみましょう。
歯ごたえのある食材を取り入れるのも効果的です。例えば、食物繊維が豊富に含まれる野菜(キャベツ、小松菜、ごぼう、切り干し大根)、海藻、キノコは、よく噛むので口の中の清掃にもつながります。健康のために野菜ジュースを飲まれている方も多いですが、ジュースは飲むだけですので唾液はほとんど出ません。
唾液腺のマッサージをする
唾液腺マッサージの効果はあまり期待できないとされています。なお、口を閉じたまま、口腔内で舌を回転させる「舌回し運動」は効果的です
口を閉じたまま、口腔内で舌を回転させる「舌回し運動」も効果的です。

こまめに水分をとる
水分で口の中を直接潤すほか、体内の水分不足も口腔乾燥(ドライマウス)の原因とされています。唾液のもとは水分なので口腔内の乾燥を防ぐため、渇きを感じる前にこまめに水分補給をしましょう。
なお、糖分を多く含むジュースや清涼飲料水は口腔内細菌の栄養源になるため控えましょう。
酸味のある食べ物で刺激する
梅干しやレモンなど、酸味のある食べ物は唾液の分泌が促されます。
口呼吸を避ける
口で呼吸すると、口の中の水分が蒸発して乾きやすくなります。口をぽかんと開けずになるべく鼻で呼吸するように意識しましょう。
リラックスする時間をつくる
唾液腺は自律神経にコントロールされているため、ストレスの影響を受けやすくなっています。ストレスや疲労を溜め込まないため、規則正しい生活を心掛け、十分な睡眠時間を確保することも大切です。
なお、口腔乾燥(ドライマウス)以外にも口臭の原因は複数あります。歯周病や虫歯などの口腔疾患、舌苔、内臓疾患、薬の副作用などです。症状が改善しない場合は更年期以外の原因も考えられるため、医師に相談するとよいでしょう。
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更年期の口臭予防には毎日のオーラルケアも大切!

生理的口臭の多くは、前述の通り口の中に常在する口腔内細菌から発生するガスが原因です。口腔内には多種多様な細菌が存在しており、善玉菌・日和見菌・悪玉菌のバランスを良好に保つことが大切です。
口臭は生理的な現象ともいえるもので「ゼロ」にすることは難しいですが、口腔内環境を整えてニオイの原因を減らすことは可能です。
毎日のオーラルケアを正しく行い、口腔内環境を清潔に保てば、気になる口臭を抑制できます。
<オーラルケアのポイント>
①ブラッシング
・毎食後の歯磨きで、食べかすだけではなくプラークも取り除きましょう。食べかすなどのタンパク質を口腔内細菌が分解する際に発する臭気ガスが口臭の大きな原因です。
・就寝中は口腔内細菌が増殖するため、就寝前はしっかりと歯磨きをしましょう。
・起床時は口臭が強くなります。口臭が気になる方は寝起きにも歯を磨くとよいでしょう。
日中の歯磨きが難しい場合は洗口液(マウスウォッシュ)を活用すると効果的です。
具体的な歯ブラシの方法は、次の記事をチェックしましょう。歯肉炎や歯周炎などの歯周病予防にもなる適切なブラッシングの方法を解説しています。
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- 歯肉炎をケア・予防する歯ブラシの使い方|歯磨きで健康な口腔内に
②歯間部のケア
・ブラッシングだけは歯と歯の間は十分な清掃ができないため、歯間部のケアも併せて行うことが重要です。
・デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシを使って歯と歯の間を清掃しましょう。
・歯間ブラシは歯科医院で実際に診てもらった上ですすめられるものを使いましょう
・1日1回以上行うと効果的です。
具体的な歯間ケアの方法は、次の記事をご確認ください。
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- デンタルフロスを使った気持ちいいお口ケアの方法&よくある疑問
③舌磨き
・一般的な口臭(病気が原因でない生理的口臭)は舌の上の細菌のかたまり「舌苔」から発するとされています。
・舌苔対策は効果的な口臭予防になります。
・舌の粘膜は傷つきやすいため、優しくブラッシングしましょう。
具体的な舌磨きの方法は、次の記事をチェックしましょう。
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- 舌にある白いものが口臭の原因?取り方のポイントやよくある疑問
更年期女性の悩みの1つ「口臭」を防ぐために口腔内環境を整えよう
更年期の口臭について解説してきましたが、この時期の口臭は加齢に伴う生理的な現象であり、特別なことではありません。
記事で紹介した口臭対策は、今日から始められるものや、普段の歯磨きを工夫するだけで取り入れられるものも多くあります。
ぜひ、毎日のケアから口臭対策を意識して、口臭を気にせず会話や食事を楽しみたいですね。
また、口臭をはじめ口腔内のトラブルを防ぐには、口腔内の環境も重要です。
口腔内には約700種類・1,000億個もの細菌が存在しており、口腔内フローラと呼ばれています。この口腔内フローラのバランスを良好に保つことが、口臭や口腔内のトラブルの対策になります。
上記の対策とあわせて、ぜひ取り入れてみてください。
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監修:牧浦 倫子
大学を卒業後、口腔外科の医局に3年間在籍、その後数カ所の関連病院に出向。病院では
「抗血栓療法中患者の抜歯の管理」「糖尿病患者さんの口腔ケア」などに取り組む。病院退職後、父の診療所を継承、現在に至る。地域の医科と連携して患者さんのサポート、口腔機能向上に努める。最近は歯科の観点からの栄養指導も取り組み始めている。