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デンタルフロスを使った気持ちいいお口ケアの方法&よくある疑問

目次

デンタルフロスをお使いですか? 
日本では「糸ようじ」と呼ばれることが多い、歯のセルフケアアイテムです。

欧米では歯周病(※)予防のオーラルケアとしてデンタルフロスが重視されており、使用率は半数以上に上ります。しかし日本人の使用率はやや低く、それが「45歳以上の過半数が歯周病」という現状の一因かもしれません。

今回の記事では、歯周病予防に重要なデンタルフロスについて、種類や使い方、よくある疑問を解説します。

※歯周病とは、歯周炎(歯槽膿漏)と歯肉炎の総称です。歯周病菌の感染による炎症で歯周組織の破壊が進みます。

お口の中が気持ちいい!デンタルフロスの魅力



デンタルフロスとは

フロス(floss)とは「やわらかい糸」「絹糸」という意味ですが、現在は主にナイロンなどの合成繊維で作られています。

デンタルフロスは、歯ブラシでは除去しにくく食べ物のカスや歯垢(プラーク)が溜まりやすい歯と歯の間(歯間)の清掃に効果的です。一説では、歯ブラシだけの清掃効果は70%程度とされており、デンタルフロスなどの補助清掃アイテム併用によって90%に届くとされています。

デンタルフロスの使用で期待できること

デンタルフロスを使用すると口腔内の清掃効果が上がり、口内環境が改善されるため、次の効果が期待できます。

1)歯周病のリスクを下げる
⇒歯周病の原因菌(歯周病菌)を多く含む歯垢(プラーク)を除去し、歯周病の初期段階である歯肉炎の発生リスクを抑制できます。

2)むし歯(う蝕)のリスクを下げる
⇒歯垢には、むし歯菌も多く含まれます。歯と歯の接触点はフロスを通して歯垢を除去することで、むし歯の発生リスクを抑制できます。ただし、むし歯は食生活も大いに関係しているので"フロスだけ"では予防効果が期待できないでしょう。

3)口臭の予防が期待できる
⇒口臭の多くは、口の中の細菌(口腔内細菌)が食べ物のカスなどのタンパク質を分解する際に出す臭気ガスが原因です。歯の間の食べ物のカスや、口腔内細菌のかたまりである歯垢(プラーク)を除去することで、口臭を抑制します。

4)むし歯や歯周病、詰め物の不具合などを早期発見しやすい
⇒デンタルフロスが頻繁に引っかかる箇所や、歯茎が出血する部分は初期のむし歯や歯周病の可能性があります。

歯垢(プラーク)とは何かを詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。


合わせて読みたい
「歯周病の原因はプラークにある?歯垢が溜まる原因や予防方法」

*デンタルフロスの使用に関する実態
かつては、日本人のデンタルフロス使用率は非常に低いというデータもありました。

しかしその後、歯周病予防やむし歯(う歯)予防、口臭予防におけるデンタルフロスの重要性が徐々に認識され、2022年の「歯科疾患実態調査(厚生労働省)」では50.9%の人が「デンタルフロスや歯間ブラシを使用している」と回答しています。外出時に持ち歩きする人も多いようです。

日本人の「お口の健康」に対する意識が高まっているとすれば喜ばしいことですが、子どもや20代男女、30代男性、60代以上の男性では使用率が低いなど大きなばらつきが見られます。

また男女差も大きく、男性で「デンタルフロスや歯間ブラシを使用している」と回答した人は4割にとどまり、女性の6割と開きがあります。

デンタルフロスの種類



デンタルフロスは、ホルダータイプとロールタイプ(糸巻タイプ)の2種類があります。ホルダータイプを「糸ようじ」と呼ぶことが一般的です。どちらのタイプもドラッグストアなどで購入できます。

ホルダータイプ(糸ようじ)

ホルダーにフロスが取り付けられているタイプでF字型とY字型があります。柄があり初めての人も使いやすいのがメリットですが、その分やや値段が高いです。大小さまざまなサイズの製品があります。

・F字型:前歯(特に下)に使いやすい

・Y字型:前歯(特に上)と奥歯に使いやすい

ロールタイプ(糸巻タイプ)

指に巻き付けて使います。慣れが必要ですが操作性は高く、歯並びが悪い部分にも使え、コストパフォーマンスも良いのがメリットです。糸にはワックスタイプとノンワックスタイプがあります。糸の太さはさまざまで自分に合うものを見つけましょう。歯間に隙間のある人は太めの糸がおすすめです。

・ワックスタイプ:糸の表面をワックスでコーティングしているため、歯と歯の滑りが良くて使いやすいのが特徴です。ミントなどの味が付いているものを使うと清涼感もあります。ただし糸の表面がつるっとしているので、ノンワックスタイプよりも歯垢を除去しにくいのがデメリットです。

・ノンワックスタイプ:ワックス加工されていないため、滑りが悪く、操作に慣れが必要です。その分歯垢を絡め取りやすく、ワックスタイプより歯垢除去効果は高くなります。

デンタルフロスの使い方【種類別】

ホルダータイプ(糸ようじ)、ロールタイプ(糸巻タイプ)それぞれのやり方を解説します。

ホルダータイプ(糸ようじ)

①歯と歯の間を磨く
・鏡で確認しながらゆっくり歯と歯の間に糸を入れていきます。
・歯間に入ったら歯の面に沿わせて上下に動かし、歯間の歯垢を除去します。



②歯と歯茎の隙間を磨く
・歯と歯茎の境目には特に歯垢が溜まりやすいため、糸の角度を変えながら歯垢を除去します。
・歯周ポケット(※注釈)の歯垢を除去するため歯と歯茎の間1~2mm程度まで糸を沈めて磨きます。


*ポイント
・糸は小さくノコギリ を引くように、慎重に歯と歯の間に入れます。強く糸を押し込むと歯茎を傷付けるおそれがあるためです。
・ぬめりや、ざらつきがなくなるように歯に沿ってフロスを動かしましょう。ぬめりやざらつきが歯垢です。

※歯周ポケット  
歯と歯肉の間の溝(歯肉溝)。1~2mm以上が正常で、4mm以上の深さがあると 歯周病と判断されます。

ロールタイプ(糸巻タイプ)

①糸を指にセッティングする
・40cmほど糸を出してカットし両端を左右の中指に巻き付けます。
・指に巻かない部分が10~15cmくらいになるように調整します。

②歯と歯の間を磨く
・両手の親指と人差し指で糸をつかんでピンと張り、鏡で確認しながらゆっくり歯と歯の間に糸を入れていきます。糸を唾液で濡らすと入れやすいです。
・歯間に入ったら歯の面に沿わせて上下に動かし、歯間の歯垢を除去します(持ち方は図を参照)。



②歯と歯茎の隙間を磨く
・歯と歯茎の境目には特に歯垢が溜まりやすいため、糸の角度を変えながら歯垢を除去します。
・歯周ポケットの歯垢を除去するため歯と歯茎の間1~2mm程度まで糸を沈めて磨きます。


*ポイント
・40cmは指先から肘くらいの長さ です。
・人差し指と親指 を上手に使って上下の前歯、奥歯を磨いていきます。
・歯に巻き付けるようにして、歯の面を2~3回上下にこするように動かします。
・数本の歯を磨いたら糸をずらして新しい部分を使いましょう。
・糸を巻き付けた中指が痛ければ、糸の両端を結んで輪っか にする方法もあります。
・その他のポイントはホルダータイプと同じです。

デンタルフロスを使うときによくある疑問



デンタルフロスとは何か、その重要性や使い方がイメージできたでしょうか。ここではデンタルフロスに関するよくある疑問について解説します。

Qデンタルフロスの使用頻度は?
毎日1回程度、歯磨きの前に使用するのが望ましいです。やりすぎは歯や歯茎を傷めてしまうため、歯磨き時毎回する必要はないでしょう。

実施のタイミングは就寝前がおすすめです。就寝中は口腔内細菌が繁殖しやすいため、就寝前に歯間もきれいにしておくと、歯垢の形成や増殖を抑制できます。

Q.フロスが歯に引っかかったらどうしたら良い?
強く引っ張らずに、ゆっくりと抜きましょう。毎回同じ場所で引っかかる場合は、初期のむし歯や歯周病、銀歯などの詰め物や治療部位の不具合などの可能性もあるため、歯科医院を受診しましょう。

Q.デンタルフロスの取り替え時期は?
使い捨てです。衛生上、毎回新しいものを使用します。

ホルダータイプ(糸ようじ)のなかには「洗って繰り返し使える」とうたう商品もあります。繰り返し使う場合はよく洗ってから乾燥させましょう。糸が毛羽立ったり使用時に引っかかったりすると交換時期です。

ロールタイプ(糸巻タイプ)は毎回、使用する分の糸を出してカットし、使用後は破棄します。

Q.子どももデンタルフロスは必要?
子どもにもデンタルフロスは必要です。歯と歯の間にあるプラーク(歯垢)をフロスを通すことで除去できます。むし歯の発生を防ぎます。また歯肉炎になっている子どもも多くいます。前述のとおり子どものデンタルフロスの使用率が低く、向上が課題です。子どもが小さい間は保護者が仕上げ磨きをするときに行うのがおすすめです。

5~6歳までは乳歯と乳歯の間に隙間があるため、デンタルフロスを使わないのが一般的です。永久歯が生え始めて歯と歯の間が狭くなってきたら使用が推奨されます。

子どもだけで使用するのは難しいので、大人がサポートしてあげましょう。

Q.歯と歯の間の掃除には、デンタルフロスと歯間ブラシのどちらが効果的?
歯の間の隙間の大きさによってどちらが適切かは変わります。どちらがいいかは歯科医院で相談しましょう。

デンタルフロスがまだの方はぜひ気持ちよさを体感してみましょう

冒頭でもお伝えしましたが、歯のブラッシングだけで除去できる汚れは限られています。まだの方はぜひ、デンタルフロスを毎日のオーラルケアに取り入れてみましょう。

最初の慣れないうちは歯肉が痛く感じるかもしれませんが、慣れてくると歯と歯肉の溝を上手に清掃できるようになり、気持ちいい感覚を味わえます。

さらに口腔内ケアの意識を高めたい方は、デンタルフロスで歯間の歯垢(プラーク)を除去するほか、歯磨き粉も工夫してみるのもおすすめです。

垢は、口の中に常在する細菌(口腔内細菌)のかたまりです。口腔内細菌にはさまざまな種類があり、歯周病菌のように悪い菌もありますが、有益な働きをする菌もあります。善玉菌、日和見菌(有害・無害どちらにも働く菌)、悪玉菌のバランスが良好に保たれていることがお口の健康には重要です。


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監修:牧浦 倫子

牧浦 倫子
大学を卒業後、口腔外科の医局に3年間在籍、その後数カ所の関連病院に出向。病院では
「抗血栓療法中患者の抜歯の管理」「糖尿病患者さんの口腔ケア」などに取り組む。病院退職後、父の診療所を継承、現在に至る。地域の医科と連携して患者さんのサポート、口腔機能向上に努める。最近は歯科の観点からの栄養指導も取り組み始めている。

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  • サラヤの歯周病研究

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運営:サラヤ株式会社

SARAYAは、1952年に日本で初めて「薬用石けん液」を開発し、感染対策に取り組んできた医薬品メーカーです。人類最大の感染症と言われる「歯周病」の対策は、健康な社会を実現するための重要な課題と考え、オーラルケアの研究を進めています。