知っておきたい!家庭の感染と予防

ロタウイルス感染症

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ロタウイルス感染症とは?

ロタウイルス感染症は、乳幼児をはじめ子どもに多い急性胃腸炎を引き起こす感染症で、2〜3月にかけて最も多く発生します。他のウイルス性胃腸炎にくらべて下痢や嘔吐の症状がはげしいことが多く、入院が必要となる小児 急性胃腸炎の原因のうち50%を占めるとされています。成人にも感染しますが、軽症ですんだり発症しなかったりする場合が多いようです。治ったあとの免疫は不完全で、再び感染することもありますが、通常二度目は重症にはなりません。

尚、原因ウイルスであるロタウイルスは、10-100個程度でも体内に入れば感染するので、非常に感染力が強く、(便1g中には1億から100億程度のウイルスが排出されます)生後6ヶ月〜2歳の乳幼児に多くみられ、5歳までには大半の子どもがかかります。

ロタウイルス感染症の特徴

  • 2月〜3月にかけて流行。
  • 乳幼児、子どもに多い。

ロタウイルスの特徴

  • アルコール消毒剤や高温に対する抵抗力がある。
  • 感染力が強い。
  • 再び感染することもあるが、二度目は重症ではない。

ロタウイルスは、「ノンエンベロープウイルス」

「ノンエンベロープウイルス」はアルコール消毒剤や熱に対する抵抗力が高いことで知られていますが、最近ではノンエンベロープウイルスにも有効な新しい「酸性アルコール消毒剤」が開発されています。

代表的なウイルス
ノロウイルス、ロタウイルス、ポリオウイルス、アデノウイルスなど。

どんな症状?

潜伏期間は1〜3日で、主な症状としては激しい嘔吐や下痢、39℃以上の発熱です。便の色が白色になることがあり、大量の水様性の下痢が出ることから脱水に陥りやすく注意が必要です。
発症後、通常であれば2〜7日程度で症状は治まりますが、まれにけいれんや脳症を合併することがあるので注意が必要です。

  • 潜伏期間は、1〜3日
  • 3〜8日続く水様性の下痢と嘔吐
  • 便の色が白い
  • 39℃以上の発熱や腹痛

子どもが帰宅したときや、トイレの後、食事・おやつの前等には、小さなこどもたちが手を洗うのを手伝ってあげましょう。手を洗った後、同じタオルを何回も使うと汚染されて感染源となるので、タオルを頻繁に変えましょう。

かかってしまった時の対処法

特に抵抗力の弱い乳幼児が感染すると、「脱水症状」になりやすいので、症状が少し落ち着いた時に、少しずつ水分補給を行ってください。(乳幼児の場合、ジュースや牛乳などの濃い飲みものを与えたり、一気に飲ませると吐き戻してしまうことがありますので注意してください。)

脱水症状がひどい場合には、病院で輸液(点滴)を行うなどの治療が必要となったり、入院が必要となる場合があります。尚、下痢症状がひどいからと言って、強い下痢止めを服用すると、ウイルスが腸管内に溜まり、回復を遅らせることがありますので注意してください。また嘔吐物によって気道が塞がり、「窒息」を起こすことがあるので、よく観察することが大切です。

適切な汚物の処理方法

汚物(嘔吐物や排泄物)には、ロタウイルスが大量に排出している可能性があります。
感染の拡大を防ぐために以下のポイントを守って、「すばやく」「適切に」処理してください。

  • すばやく適切に処理する!
  • 乾燥させない!
  • 消毒する!

準備するもの

塩素系漂白剤調製液

塩素系漂白剤を水で薄めて、0.1%以上の塩素系漂白剤調製液を作成します。

0.1%以上の塩素系漂白剤調製液
(※市販されている5〜6%濃度の漂白剤を使用した場合)

水量 1L 3L 5L 10L
原液 33mL 100mL 170mL 350mL

※経時変化の恐れがありますので、濃い目(0.1%以上)に調整します。
※調整日から3ヶ月を経過した液は調整し直してください。
※塩素系漂白剤調製液は、漂白作用があるため、脱色される可能性のあるものは注意してください。

「くつカバー」1足(2枚)

床に着いた汚物に、直接触れないようにする。
(くつカバーは、ビニール袋でも可)

「ペーパータオル(キッチンペーパー)」20枚

捨てることのできる、
汚れのない白い雑巾でも可。

「手袋」2双(4枚)

2枚重ねにして、手指を介した二次感染を防ぐ。

「ゴミ袋」大2枚

「ガウン(またはエプロン)」1枚

水分の染み込まないビニール性でひざ下までのガウン、もしくはエプロン。しゃがんで処理を行う時に衣類への飛び散りを防ぐ。

「マスク」1枚

粉塵の吸い込みを防ぐ。

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汚物の処理キット

汚物処理時の6つのポイント

  1. ご家庭でも使い捨ての手袋、マスクなどの個人防護具を着用すること。
  2. 処理をする人以外は、汚物に近づかないこと。
  3. 効果的な消毒剤を使うこと。
  4. 十分に換気をすること。
  5. ウイルスは広く飛散し、高く舞い上がるため、広範囲の壁や床を清掃すること。
  6. 処理後には手洗いを2度行い、うがいをすること。また、可能であればすぐに着替えを行い、着ていた衣服は洗濯すること。

嘔吐物が衣服についてしまった場合には?

準備するもの

「準備するもの」と「服装」は汚物の処理方法と同じです。

塩素系漂白剤を水で薄めて、0.02%塩素系漂白剤調製液を作っておきます。

※塩素系漂白剤調製液は、漂白作用があるため、色柄ものの洗濯には注意してください。

0.02%塩素系漂白剤調製液
(※市販されている5〜6%濃度の漂白剤を使用した場合)

水量 1L 3L 5L 10L
原液 3.3mL 10mL 17mL 35mL

衣類洗濯時の6つのポイント

  1. すぐに洗えないときは衣類をビニール袋に入れ、
    周囲を汚染しないようにする。
  2. 下洗いをする付着した汚物中のウイルスが飛び散らないように処理をした後、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いします。その際には、しぶきを吸い込まないように注意して行いましょう。
  3. リネン類の消毒0.02%塩素系漂白剤調整液での消毒が有効です。その後、十分にすすぎ、高温の乾燥機などを使用すると殺菌効果は高まります。 85℃で1分間以上の熱水洗濯が効果的ですので、熱水洗濯が行なえる洗濯機があれば利用しましょう。 ※布団などすぐに洗濯できない場合は、汚物の付着した部分をよく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使用すると効果的です。
  4. 洗濯した場所の清浄化下洗いを行なった場所も0.02%塩素系漂白剤調整液で消毒し、洗剤を使用して清掃を行ないましょう。

感染を拡大させないため、対策しましょう

ロタウイルスは主に経口感染と接触感染で感染します。ご家庭では、汚染された水や食べ物を介して、あるいは汚染された物の表面(ドアノブ、手すりなど)を触った手などから口に入り感染します。

  • しっかり手洗い・消毒し、
    感染をストップさせましょう!
  • うがいでしっかり予防しましょう。
  • 感染拡大防止のため、洗浄・除菌を行いましょう。

予防接種について

日本では、2種類のロタウイルスのワクチン(単価と5価)が承認されていて、任意で接種を受けることができます。
対象者はいずれのワクチンも乳児であり、具体的な接種期間は、単価ロタウイルスワクチン(2回接種)の場合は生後6~24週の間、5価ロタウイルスワクチン(3回接種)の場合は生後6~32週の間です。
ただし、どちらのワクチンも1回目の接種は14週6日までが推奨されます。詳細については、医療機関でご相談ください。

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手指消毒

"トイレの後"、"食事の前"には、殺菌・消毒できる薬用せっけんで、徹底した手洗いを必ず行います。 "トイレの後"や"汚物の処理後"などは2度洗いし、水気をふき取り、手指消毒をしましょう。また、感染者は下痢の症状がなくなったからといって安心してはいけません。便にはしばらくウイルスの排出が続きますので、トイレ後には手洗いと消毒を徹底しましょう。

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健康管理

外から帰った後や空気が乾燥しているときなど、うがい・マスク着用の習慣を持ち予防に努めましょう。汚物の処理後にもうがいをしましょう。

環境の清掃

感染拡大を防止するため、"手"がよく触れる場所などは、こまめに洗浄・除菌を行いましょう。トイレの便座・蓋、ドアノブ、電気などのスイッチ、キッチンまわりなども注意しましょう。

二次感染予防

嘔吐物などにはウイルスが大量に存在する可能性があります。「すばやく」「適切に」処理し、感染を防ぎましょう。